お宝 55555キリ番Get♪

作/暁 紫音

雨続きだった。
毎日、毎日雨が続いて…

ようやく晴れた

晴れた日にオフだった。
だから、何をするわけでもないけれど外へ出た。

暖かい風。
あちらこちらに洗濯物がはためいているのが見える。
石川は半袖に薄手のコートを羽織り、駅に向かった。
こうして一人で出かけるのも久しぶりかもしれない。
岩瀬は一緒の休みだったが、妹の海里に用事を頼まれたらしく朝から外出しいた。

『早めに用事を終わらせたら、デートしましょうね』
昨夜、岩瀬はそう言っていた。
『俺は俺で過ごすから、たまには海里ちゃんに付き合ってやれよ』
石川は苦笑しながら言ったが、
『悠さんとの休みがずれた日に思う存分付き合いますよ』
と、言い返されてしまった。

もちろん岩瀬と過ごせるのは嬉しい。
しかし、部屋でずっと待っているのはなんだか勿体無い程の快晴。
石川は携帯と財布を持ち、出かけたのであった。


                    


いつもより少しだけ遅い朝。
夜勤の恋人はまだ戻って来ていないようだった。
どうやら、すんなり上がれないらしい。
班長である彼にはよくある事。
橋爪はゆっくりと身体を起こし、時計を見る。

時間は11時。

朝食と言うには遅すぎ。昼食には少しだけ早い。

窓の外を見れば、澄み渡った青空。

(…外で食べようかな)

ふと、そんな事を思い外出準備に取り掛かる。
軽くシャワーを浴びて、頭をスッキリさせる。
着替えたら、携帯と財布と読みかけの小説を持ち、部屋を出た。

「外出?」
門の所で西脇に声をかけられる。
「はい。起きたら天気だったんで外で食事をしようかと…」
「そう。気をつけて」
西脇に見送られて、橋爪はどこへ行くともなく歩き出した。
ふと、携帯が小刻みに震える。
マナーモードでバイブになっていた携帯にメールが来たらしい。

【仕事上がったら連絡する。一緒に出かけよう】

橋爪を見送った後、西脇がメールしたらしい。
その画面を見て思わず笑みがこぼれる。

【待ってます。がんばってくださいね】

そう返信すると、橋爪はよく行くレストランに向かうべく駅へと歩き出した。


                    


行き先をどことも決めていなかった石川は改札で少し迷っていた。

(どうするかな…)

岩瀬がどの程度で合流するか分からない。
あまり遠くに行ってしまっては、お互いが会うまでに一日が終わってしまうかもしれない。
そもそも、岩瀬がどこまで出かけているかまでは聞いてない。
近場でも良いが、ピンと来る場所がない。

(取りあえず…適当に乗り込むか)

そう考えていた時、背後から声をかけられた。
「石川さん?」
その声の主は橋爪だった。
「Dr?一人か?」
「はい。西脇さんは夜勤が上がれないみたいで…」
「あ〜…昨夜ちょっとトラブルがあったみたいだからな」
隊長の石川には何かあれば連絡は来るが、たいした事もなかったのでそれぞれに任せていた。
「それで、一人で出かけるのか?」
「えぇ。と、言ってもランチを…。石川さんこそ、岩瀬は一緒じゃないんですか?」
「岩瀬は用事があるんだって。後で合流する予定」
「そうなんですか。で、石川さんはどこまで?」
「それが、決めてないんだ。適当にぶらぶらしようかなって」
「だったら一緒にランチに行きません?そんなに遠くないし…」
「うん。それいいな。じゃ、お言葉に甘えて…」

橋爪の提案で、二人は電車に乗り込んだ。
平日の昼間の車内は、人もそんなに多く無く席もまばらに空いていた。
しかし座ることも無く、目的地付近の駅は一駅行った所ですぐに二人は電車を降りた。

橋爪が連れて来たレストランは、さほど広くない店内に静かなBGMが流れちょっとした隠れ家的な店だった。
ランチの時間のせいか少々店内が賑わってはいたが、気になるほどではない。

「石川さん、何にします?」
ちょうど空いた席に座り、二人でメニューを広げる。
「ランチセットで。コーヒーつけてもらおうかな」
「じゃ、私も…」
橋爪はメニューをたたむと、店員を呼びオーダーを告げる。
「こうして、Drと二人で食事っていうのも不思議だな」
石川が用意された水に口をつけながら言う。
「そうですね。食堂でも誰かはいますし…」
「たまには面白いかもな」
                                               
食事が来てからも、二人の会話は続いた。
「そういえば…Drって西脇と二人の時どんな話してるんだ?」
「どんなって…特にこれと言って特別な話はしてないですよ。今日何があったとか…」
「西脇って今日あった事とかって詳しく話す?」
「詳しく…と言うわけじゃないですけど、ある程度。石川さんとの方がよく話してるんじゃないですか?」
「まぁ、俺とは仕事柄ね」
「でも同期ですし。昔から付き合いがある分、くだけた話とかもしてそうですよね」
「………どうかな?」

石川は、ふと昔からの西脇との会話を思い出す。

「そうだな。隊の事とか…よく話してた」
二人が入ったばかりの隊は、こんなによくまとまってなかったから…と、石川は苦笑まじりに言う。

「少しだけ…うらやましいです」
ふと橋爪が言う。
「石川さんだから言いますけど…やっぱりあの人の事いろいろ知りたいから
 私より長く、あの人といる石川さんが少しだけうらやましいです」
「Dr…」
「あ、でも別に嫉妬してるとか石川さんがイヤとかじゃなんですっ」
慌てて否定する橋爪に石川が笑う。
「分かってるって。俺だってそういうのあるから…」
「石川さんにも?」
「あぁ。岩瀬にも沢山友人がいるだろ。マーティにも嫉妬したし…」
「でも、岩瀬は石川さんには何も隠し事はしないでしょう?」
「しないよ。言えば答えてくれると思う。でも付き合う前のあいつを全て聞くなんて無理だろ?」
石川の表情は少し寂しそうに見えた。
「時々、アレクと話してる岩瀬を見てると自然体に見えて…うらやましくなったりするよ」
「あの二人は仲良しですからね」
「そうだな。二人の間にはちょっと入れない」
「石川さんと一緒にいる岩瀬も、幸せそうですよ」
「ありがとう。うん。だからそれでいいと思ってる」

石川が顔を上げた時、石川の携帯が鳴った。
「岩瀬だ…」
その時、橋爪の携帯も振動する。
「西脇さん?」

石川は電話だったらしく、店の外に出て行く。
その様子を見て、橋爪は携帯を服のポケットから出し確認する。
どうやらメールのようだった。

「ごめん。岩瀬の用事が終わったみたいだ」
「西脇さんも仕事上がったみたいです」
「じゃあ、ちょうどいいな。コーヒー飲んだら出よう」
「はい」


                    


「石川さんはどこで待ち合わせですか?」
「ここの駅まで来てもらうから。Drは?」
「ちょっと先の駅まで行きます」
二人は人の波と逆に駅まで向かう。
日が高いこの時間、ちょうど電車も空いてそうだった。
「じゃ、またな」
「はい。あ…っ。石川さん」
橋爪は改札に入ろうとした瞬間、一度石川の所まで戻ってきた。

「さっきの話ですけど…お互い昔の事は気になりますけど…これからの事見ていけばいいかなって。
 昔の事気になったらキリないですし。それよりも長い時間、二人で過ごせれば…」
「うん。そうだな。俺もそう思う。あ、でもこの話岩瀬に内緒な」
「分かってます。西脇さんにも話さないでくださいね」

二人は恋人に内緒の約束を交わす。
お互いの恋人がこの様子を見たら、それこそ嫉妬しそうな雰囲気で…。

「じゃ、行きますね」
「あぁ、また明日な」


                    


「悠さん!」
橋爪を見送った10分後位に、岩瀬が同じように改札からやってくる。
「遅くなりました」
「いや、大丈夫だよ。今日はDrとランチしてた」
「へえ〜。珍しいですね。二人でどんな話したんですか?」
「そうだな…。いろいろ」
「いろいろって?」
「いろいろだよ」
石川の言葉に、納得いかないような表情を浮かべる岩瀬。
「いろいろってなんですか?!」
何度もたずねるが、石川は「いろいろだよ」としか答えてくれない。

(はぁ〜…Drと一緒にいる悠さんって…なんだか楽しそうなんだもんな)

岩瀬は盛大なため息をつき、質問するのはやめようと決めた。
「悠さんっ。だったら俺とは夕食一緒にしてくださいよ」
「そのつもりだよ。ほら、行くぞ」
石川は岩瀬に手を差し伸べる。
「悠さんっ」
めったに手を繋がない二人だったが、珍しく差し出された手を岩瀬はしっかり握った。
「珍しいですね。手を繋いでくれるなんて」
「たまにはいいだろ。俺だってこうしたい時もあるんだよ」
顔を赤くして、石川は言う。
岩瀬は満面の笑みで、その手を放すまいと心に誓った。


                    


石川と分かれて、更に一駅行った駅改札に西脇は立っていた。
「西脇さんっ。早かったですね」
「うん?メールしたときは既に電車だったからね」
「そうなんですか」
「多分いつもの店で食事だろうと思ったからね」
今日橋爪が行った店は西脇も行ったことがある。
行くとしたらそこだろうと西脇は思った。
「当たりです。石川さんと一緒だったんです」
「石川と?そりゃ、何話していたか気になるな」
どうせ、俺と岩瀬の悪口だろう?と笑って言う。
「悪口は言ってないですよ」
「じゃあどんな話してたんだ?」
「ふふっ。それは内緒です」
橋爪の笑顔に、西脇は苦笑する。

(まったく…石川に何か吹き込まれてないだろうな)

少々不安になりつつも、頑固な橋爪はきっと何も言わないだろう。
だったら、自分も何も聞くまい。
「紫乃。俺とも内緒話する?」
「西脇さんと?一体何の話ですか?」
「ん〜…じゃあ、今日一日の出来事。全部内緒。どんな風に過ごしたか、誰にも言わないで」
「はい」
少しだけ子供みたいな提案に橋爪が笑う。
西脇もつられて笑顔になる。
そして、二人で休みを満喫すべく街へ繰り出した。


                                 〜Fin〜


                     


きゃわぁぁぁぁぁぁい♪

暁 紫音
様より、ステキSSをいただきました!
光栄にも私めが55555キリ番を踏み踏みさせて頂いたのですぅ〜vv


贅沢にも基悠&西橋の両カプ話です〜v(*^v^*)v
ありがとうございますvvv


暁 紫音様宅へはこちら→ へGO!!











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